行者 武松 ――様々な側面を見せる剛の者


★表の見方
宿星 天傷星 順位 14位
登場 22回 入山 41回
他の呼び名
出身地 清河県(23)
年齢 (陽穀県で武大に再会した時点で)25歳(24)
家柄 親族 兄(武大・24) 嫂(潘金蓮・24)
義兄弟 宋江(23) 張青(28) 施恩(29)
入山前 酒に酔って、地元の機密(役人)と喧嘩し、柴進のもとに身を寄せる(23)
→景陽岡で虎を打ち、陽穀県の都頭に(23)
→西門慶・潘金蓮を殺害して罪人になる(27)
→流罪先の孟州で大量殺人事件を起こし(31)、二竜山に身を寄せる(32)
身長 8尺(24) 得物 ・哨棒(23)
・棍棒(23・30)
・切っ先が長く、柄の短い、厚背でうす刃の短刀(26)
・腰刀(31)
・朴刀(31)
・戒刀二振り(31・61)
容貌・風貌 ・大男(22・地)
・凛々たる身体、堂々たる相貌(23)
・鋭い目つき(23)
・漆を刷いたような(濃くはっきりとした?)眉(23)
・くそでぶ(27・孫二娘曰)
・火眼金睛…銅筋鉄骨…(31)
・たくましい体つき(32)
性格・人物像 ・語話は軒昂(23)
・心は雄、胆は大(23)
・気性のはげしい男(23) あばれもの(24)
・いくらか字が読める(23)
・どえらい肝っ玉(23・景陽岡の猟師曰)
・酒に酔うとすぐ人に手を出して、しょっちゅうお上のお世話になった(24・武大曰)
・剛直な男(24) 剛のもの(24)
・むかしからまじめな男(24・武大曰)
・賢い人(24・潘金蓮曰)
・清河県きっての豪傑(25・西門慶曰)
・まばたきひとつしねえで人を殺しちまう男(26・何九叔曰)
・義気に富んだ天晴れな豪傑(27) なかなか義気のある男(27) 義に篤い豪傑(27)
・飲めば飲むほど腕が立つ(29)
・剛直一本槍の男(30)
・千斤のものを持ち上げるほどの怪力を持つ(32)
・道理のわかる人(71)
特技 ・玉環歩、鴛鴦脚(拳法の技の名)(29)
入山後の持場・職分 【持場】
前軍の寨(60)(相役:李応・徐寧・魯智深・楊志・馬麟・施恩)
→山の正面の第二の関門(71)(相役:魯智深)
【職分】
歩兵軍の頭領(71)
 武松は水滸伝の23回から32回、実に10回を占めて活躍する。水滸伝の十分の一程度を独り占めしているわけだ。この「武十回」と呼ばれる活躍譚を持つ武松は、水滸伝の中でもとりわけ人気高い人物の一人である。
 この長い物語の中で武松の性格が変化することはよく指摘されている。基本的に武松は、荒っぽく向こう見ず、じれったいことが嫌いな直情径行の男だが、虎を倒して陽穀県の都頭になってから(23回)、西門慶・潘金蓮を殺して流罪先の孟州に到着する直前(28回)までは、冷静で判断力があり、大人びた男に描かれている。
 ところで武松が行者に身をやつすようになったのは、鴛鴦楼で大殺戮を犯した後、役人の追捕を逃れるためであったのだが(31回)、梁山泊に入り、その心配がなくなった後でも、ずっと行者姿をしている。これは、似た理由で和尚になった魯智深と同様である。あだ名がそう決まっていたから還俗しなかったといえばそうかもしれないが、彼自身行者姿を気に入っていたのかもしれない。


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