公孫杵臼
こうそんしょきゅう




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公孫杵臼と程嬰の主・趙朔が族殺された。
趙氏一族は、女子供まで殺された。朔の妻・孟姫を除いては。

街中で、杵臼と程嬰は再会した。
程嬰は人目を避け、杵臼に耳打ちした。

「孟姫様が主の御子を宿しておられる」

杵臼は目に光を宿した。一息ついて、程嬰に訊いた。
「死ぬことと、御子を守り育てること、どちらが難しいか」
「御子をお育てする方が難しい。死ぬことの方が容易い」

「では、簡単な方をやらせて貰おう」


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参考: 宮城谷昌光「月下の彦士」(『孟夏の太陽』所収)
<2006年12月>



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