黒旋風双献功 (高文秀 作)


■主な登場人物■

◎李逵:第13位の頭領。孫孔目を助けるため活躍する。
◎宋江:梁山の首領。字は公明、あだ名は順天呼保義。
◎呉学究:宋江と一緒に登場するが、特に何もしない。
(◎晁蓋:名前のみ出てくる。宋江の前の梁山の首領。祝家荘にて戦死。)

◎孫孔目:姓名は孫栄。文官の胥吏(「把筆司吏」とある)。宋江とは義兄弟。
◎郭念児:孫孔目の妻。白衙内と不倫している。
◎白衙内:土地で幅を利かせている坊ちゃん。



■第一折■  正末:李逵
 孫孔目は、妻の郭念児と東岳廟に焼香に行くにあたり、一人の護衛を連れて行くことにした。たずねた先は梁山の首領・宋江のもと。孫孔目と宋江は義兄弟である。宋江が頭領たちにはかると、第13位の頭領・山児李逵が護衛役を買って出、孫孔目とともに下山する。


■第二折■  正末:李逵
 ところで孫孔目の妻・郭念児は、土地の権勢家・白衙内と不倫していた。孫孔目が護衛を探しに行っているすきに、郭念児は白衙内と会い、東岳廟に行く途中の場所で衙内と駆け落ちすることにした。
 そうとも知らず孫孔目は、郭念児、そして王重義と変名した李逵と一緒に東岳廟にむかい、ある宿で郭念児を残して李逵と一緒に次の宿の予約を取りに行く。そのすきに、郭念児は白衙内と落ち合い、姿を消してしまう。帰ってきて孫孔目はびっくりし、宿の男の話から、妻は白衙内とともにどこかへ行ってしまったことを知る。李逵は追いかけようと言うが、孫孔目は役所に訴えに行ってしまう。


■第三折■  正末:李逵
 孫孔目は役所に訴え出たが、白衙内が先手を打って役所と通じていたので、却って捕らえられ、牢に入れられてしまう。これを知った李逵は、呆けた下男のふりをし、差し入れの飯を持ってうまく牢獄に入り込み、牢番を倒して孫孔目を救い出す。


■第四折■  正末:李逵
 孫孔目を救い出した後、李逵は白衙内と郭念児のいる屋敷を訪れ、門を出てきた白衙内を殺し、さらに郭念児の首をとって梁山泊に帰還する。こうして淫婦姦夫をやっつけて一件落着。



*補:
・李逵は第13位の頭領。あだ名は山児、あるいは黒旋風。山児のほうがよく出てくる。見た目は凶悪だが人はいい、とのこと(by宋江)。「鋼斧」「板斧」を得物としているらしい(以上第一折)。白壁に自分の名などを書く場面があり(第四折)、字は書ける様子。
・この劇の冒頭で、宋江が山寨の様子を述べている。その文章が、100回本『水滸伝』第78回の冒頭にほとんどそのまま挿入されている。



*第三折、白衙内が役所と通じていたらしいことは分かりましたが、なぜそんなことができるのかはよく分かりませんでした。白衙内が役所のお偉方だったんでしょうか…?

*同じく第三折、李逵が牢番を倒すまでの手順が読み取れませんでした。なのでその場面ははしょってます(^_^;) 李逵らしからぬ機智を働かせたようですが…。牢番に薬を盛って盛りつぶしたのかな??



劇名:
《テキスト》
1.脈望館本=(正名)黒旋風双献功
2.元曲選=(題目)及時雨単責状 (正名)黒旋風双献功 (簡名)双献功
《劇名のみ》
1.録鬼簿(鍾嗣成)=(正名)黒旋風双献
2.録鬼簿(賈仲明増訂)=(題目)孫孔目上東岳 (正名)黒旋風双献
3.元曲選目=(正名)黒旋風双献功(功は、一本に「頭」)



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